トラのバターのパンケーキ
ババジくんが、おかあさんのママジに作ってもらった服を着て、おとうさんのパパジに買ってもらった靴をはき、かさをさして、ジャングルにさんぽにでかけると、そうそう、トラが出てくるのでした。トラはババジくんを食べようとしますが、そうそう、服や靴と引き換えに見逃してくれるのでした。それからトラたちのけんかが始まって、そうそう、トラがバターになっちゃうのでしたね。
そうなんです、かの有名な『ちびくろサンボ』の絵本です。説明はいらなかったかもしれませんね。でも、ごく若いおとうさん、おかあさんはご存知ないかもしれないので、念のため書いておきました。というのも、「サンボ」という名前自体が差別的だという解釈があって、過去に何種類かあった本はすべて絶版になったからです。
子どもたちの大好きなお話なので、ずいぶんと惜しまれて、いろいろな人が、手かえ品かえして、出版し直しました。これもその一冊ということになりますが、子どもたちに歓迎される絵本のような気がします。原作の舞台であるインドの空気が伝わってくるような、明るい文と絵になっています。
読み終わった時、「パンケーキ作って!」と子どもが叫んだら、絵本として百点満点なんですけど、試してみていただけませんか?
ヘレン・バンナーマン 作 フレッド・マルチェリーノ 絵 せなあいこ 訳 評論社 1,600円
(2000年 ’平成12年’ 1月31日 31回 杉原由美子)