また もりへ

 森へ出かけたぼくは、動物たちのコンテストの呼び出し係をすることになります。何のコンテストかというと、「自分の一番得意なもの」のコンテストです。そこで、ライオンは声の自慢、あひるは泳ぎの自慢、かばは大食いの自慢をやります。審査員の年取ったぞうは、それぞれに「よろしい、なかなかよろしい」と、褒めてくれます。でも、飛び入りで披露したぼくの技が一番いいと言って、花輪を編んで頭にかぶせてくれたのでした。さて、ぼくの得意技って、何だったかわかりますか? 人間だったらみーんなできることなんですけど。
 この本の前編として、『もりのなか』という本があります。そこでは、男の子と動物たちが森でパレードをしたり、かくれんぼをしたりします。かくれんぼを始めた所でお父さんが迎えに来て終わりになっていたのですが、今回も最後にお父さんが現れます。どちらの場合も「お父さんでよかったなあ」と思わせるから不思議です。
 そして、その思いは「この絵本があってよかったなあ」という思いになります。読むたびに、人間というものは、人生のほんの振り出しにいる子どもと、生きることの重さを知ってしまった大人が助け合いながら生きているのだと分かります。 私も、むじゃきに笑いながら動物の物まねをする子どもに、いつもエネルギーを充電してもらっています。

マリー・ホール・エッツ 作絵 まさきるりこ 訳 福音館書店 900円
(2001年 ’平成13年’ 2月12日 45回 杉原由美子)

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