もりのこびとたち

 森に、小人の家族が住んでいました。みんな、きのこそっくりの帽子をかぶっています。お父さんとお母さんは、食べ物を蓄えたり着物の支度のために忙しく働き、子どもたちは、生活の知恵を身につけながら元気に育っています。ご近所には、リスやカエルやコウモリがいて、いっしょに遊んだり勉強したりします。
 「小人さんになれたらいいねえ」
 普通の人間の子どもである娘が、しみじみと言うので、私はおかしくてたまりません。 私から見れば娘の日常は、小人さんとほとんど同じだからです。夏は汗だくになって、冬は雪まみれになって、あたりが薄暗くなるまで遊びほうけている子どもは、絵本の中で暮らしているようなものです。
 それはともかく、娘が小人さんの一家をうらやむのは、この絵本に限らずエルサ・ベスコフの描く家庭がほんとうに幸せそうに見えるからだと思います。どれも半世紀以上前のスウェーデンで出版された本なのですが、穏やかな色彩と子守唄を思わせるのんびりした文章が、子どもをうっとりとさせるのです。どうぞ親子で、小人さんの一家をおたずねくださいますように。

エルサ・ベスコフ 作 おおつかゆうぞう 訳 福音館書店 1,300円  (2001年 ’平成13年’ 6月18日 51回 杉原由美子)

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