ともだち
これは、世界の子どもたちの日常風景を集めた写真集です。年代は1982年から97年まで。場所はアフガニスタン、エルサルバトル、グアテマラ、ブラジル、ヨルダン、レバノン、フィリピン、南アフリカなど。
撮影者の長倉洋海さんは、どちらかといえば弱虫の子どもだったのですが、大学の探検部に入って世界中を見て歩くことになりました。どこでも、子どもたちがともだちになってくれたそうです。
どの写真も、その国の現実をありのままに映し出しています。水汲みをする子、子守りをする子、物売りをする子、ゴミ拾いをする子、そして本物の銃を持つ子。親のいる子もいない子も、家のある子もない子も、いえ、生まれたときから祖国のない子もいます。
子どもたちは、カメラに向かってあるときは微笑み、あるときは涙をこぼし、あるときは警戒心むき出しの鋭い視線を投げてきます。その真剣さには圧倒されてしまいます。
アフガニスタンの子どもたちは、東洋的な風貌のせいか、とりわけ親近感があります。女の人は人前に出ない習慣なので、男の子がお給仕をします。あるとき、長倉さんはうっかり食事の単調さをぼやいてしまいました。すると男の子は「戦争のせいでごちそうが出せないんだ」とたいへん悔しがったそうです。
近い将来に、平和なアフガニスタンの写真が見られるよう、祈りたいと思います。
長倉洋海 写真 偕成社 1,400円 (2001年 ’平成13年’ 12月3日 55回 杉原由美子)