スーホの白い馬
馬頭琴という楽器があります。胡弓の仲間の弦楽器で、棹の先端が馬の彫り物になっています。この楽器がつくられた由来として、お話は始まります。
昔、モンゴルの草原にスーホという羊飼いの少年がおばあさんと2人で暮していました。ある日、スーホは、群れからはぐれた1頭の仔馬を連れて帰ってきます。
心を込めて世話をしたおかげで、子馬はたくましく成長しました。みんなにすすめられて、スーホと白馬は殿様主催の競馬に出場し、優勝します。すると欲張りな殿様は、褒美をくれる約束を無視して、力ずくでスーホから白馬を奪ってしまいます。
くやしさと悲しさで幾日も眠れなかったスーホのもとへ、白馬は傷だらけになりながら駆けどおしに駆けて帰ってきます。そしてスーホの手当ての甲斐なく、死んでしまったのでした。夢に現われた白馬は、自分の体を使って楽器を作ってくれるよう、スーホに頼みます。
そうやって出来上がったのが馬頭琴なのです。小学校の教科書にも載っていますが、できたら、このオリジナルの絵本で読んでみてください。モンゴルの大草原の広がりを表現しようと、苦心して作られた絵本です。長いお話ですが、親子で最後までゆっくり読めたらいいですね。
大塚勇三 再話 赤羽末吉 画 福音館書店 1,200円 (2002年 ’平成14年’ 4月22日 60回 杉原由美子)