コーギビルのゆうかい事件

 犬好きの方はピンとくるかもしれません。この絵本の主人公はコーギー犬です。足の短いおとなしいキツネ、という感じの犬です。 作者のターシャ・チューダーは、たくさんの動物といっしょに暮らしていますが、中でもこのコーギー犬が大好きだそうです。
 若きコーギー犬のケイレブは、優秀な成績で大学を卒業し、ふるさとのコーギビルで探偵として働いています。 平和なコーギビルに、ならず者のアライグマ一味が入り込んで来て、なにやら不穏な空気が漂い始めます。 そして、用心していたにもかかわらず、村一番の雄鶏、ベーブがゆうかいされてしまいます。ローストチキンにされる運命のベーブをあわやというところで救い出したまではよかったのですが、乗っていた気球が風にあおられて、このままでは海上に出てしまう……。
 スリル満点の冒険物語ですが、舞台設定は19世紀半ばのアメリカの田舎。登場人物もみな動物たちなので、なんとも牧歌的な雰囲気です。
 私は、ターシャ・チューダーの絵本を初めて見たとき、初版日付を何度も確認しました。古風な絵なのに最近出たことになっているし、作者はいったいいつ生まれた人なんだろう? そのころは邦訳版もなく、確かめる術なく何年かたってしまいました。
 ターシャ・チューダーは90歳を過ぎてなお現役の絵本作家です。自ら設計した家に、犬や猫ばかりか、山羊やあひるも飼い、畑を耕し、衣服もこしらえ、自給自足に近い暮らしを営みながら創作も続けているスーパーウルトラおばあちゃんです。家族みんなで読む本として、仲間に入れてください。

ターシャ・チューダー 絵・文 食野雅子 訳 メディアファクトリー 1,600円  (2002年 ’平成14年’ 10月28日 67回 杉原由美子)

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