アジアの台所たんけん

 前々回ご紹介した「ガジュマルの木の下で」が厚生労働省の特別推薦書に選ばれました。あれはタイの国の子どもたちでした。今回は、トルコから韓国まで、アジア6カ国の家庭の台所を紹介した写真絵本です。
 アジアの西の端トルコは、小麦の原産地なのだそうです。そこで作られるパンは、直径が60㌢ほどもあるパイ生地のようなもの。なんと、80㌔もの小麦を使って3カ月分を一時に作ってしまいます。
 当然ながら一人では作れないので、近所の人、 親戚の人もいっしょになって作ります。そこに子どもも顔を出して、小麦のこね方、焼き方、保存のしかたなどを覚えていくことになります。
 ラオスの台所では、中身はかまぼこ、外見はちまきのようなソム・パーを一家総出で作っています。お母さんを中心に大勢の兄弟姉妹が協力してにこにこと作業しています。おいしそうに出来上がったので、次はお食事のシーン? と思ったら、それは食べるのではなく、売るために作っていたのでした。
 スリランカでは、日本のそばによく似たお米の麺類作り。そばではお父さんがニワトリの毛をむしっています。さっきまで庭を走り回っていたニワトリなんですが……。
 思わず手を出して味見をしたくなる家庭料理の数々と、懐かしいような家族団欒の風景を楽しむうちに、広いアジアのさまざまな風土や文化を知っていくことにもなります。
 いい機会だと小4の娘に地理の講釈を始めてみると、意外とアジアに詳しくなっている。それもそのはず、クラスに、魔法の呪文のような名前を持つイスラム系の女の子が入ってきたそうで。どうか仲良くやってくださいね。

大村次郷 写真・文 福音館書店 667円  (2003年 ’平成15年’ 4月7日 74回 杉原由美子)

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