こすずめのぼうけん

 こすずめのひなが育って巣立ちのときを迎えました。お母さんすずめが飛び方を教えます。上手に飛ぶことができたこすずめは、お母さんの注意をつい忘れて、すいぶん遠くまで来てしまいます。どこかに休めるところはないかしら、鳥の巣を見つけては「休ませてください」と頼んでみるのですが、 「仲間じゃないから」といって、中に入れてもらえません。
 あたりはいつしか夕闇に包まれ、疲れきったこすずめは、ついに飛ぶこともできなくなり、地面をぴょんぴょん歩いていました。すると向こうの方からも鳥の姿が見えてきて……。
 お話は期待通りに運びます。お母さんすずめに発見されたこすずめは、無事我が家に帰ることができます。でも、からすやふくろうなど、違う種類の鳥たちに何度も拒絶されるこすずめの姿に、子どもたちは深く同情します。しまいに、涙ぐむ子まででてきます。
 テキストに、「こわい」とか「かわいそう」とか「さびしい」とかいう言葉は全く使われていません。でも、子どもたちの心には言葉で表す以上の感情が湧き起こり、そしてしっかりしまわれていくのがわかります。石井桃子さんの美しい訳文と、それにみごとにつりあった堀内誠一さんの絵のなせる業でしょう。
 最後のページ、こすずめがお母さんにぴったり寄り添って眠る場面を見ると、子どもは決まって私にすり寄って来ます。「お母さんになってよかったあ」と感じる至福のときです。

ルース・エインズワース 作 石井桃子 訳 堀内誠一 絵 福音館書店 800円
(2003年 ’平成15年’ 5月5日 75回 杉原由美子)

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