ありがとう、フォルカーせんせい

 5歳の誕生日に、トリシャは、家族から本読みの儀式をしてもらいました。儀式というのは、本の表紙にハチミツをたらし、子どもになめさせるのです。子どもが「あまーい」と言ったら、「ハチミツはあまーい。本もあまーい。読めば読むほどあまくなる!」と励ますのです。
 お話を聞くのが大好きなトリシャは、自分で本が読めるようになると思って喜びます。でも、いくら教わっても、本を読むことができないのです。とうとう読めないままに、小学生になってしまいました。つっかえつっかえ読むトリシャを馬鹿にして、男の子たちがはやしたてます。「赤ちゃんみたいに読むなよなー」。いじめっ子から逃げ回るトリシャは、すっかり学校が嫌いになってしまいました。
 高学年になって、新しい先生がやってきます。フォルカー先生です。フォルカー先生は、友だちをからかう子には毅然として立ち向かい、1人で悩んでいたトリシャには救いの手を差し伸べてくれます。努力の甲斐あって、奇跡は訪れます。トリシャは本を読み通すことができるようになったばかりか、絵本作家になったのです。
 この絵本は、日本でも知られるようになったLD(学習障害)の子どもの視点で作られています。作者ポラッコの実体験だそうです。「フォルカー先生がいてよかったねえ」読み終えた小5の娘は心底うれしそうに言いました。

パトリシア・ポラッコ 作 香咲弥須子 訳 岩崎書店 1,400円  (2004年 ’平成16年’ 2月16日 85回 杉原由美子)

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