ソリちゃんのチュソク
ソリちゃんは、韓国の女の子。ソリちゃんが楽しみにしていたチュソクの日がやってきました。韓国では、旧暦の8月15日のことをチュソクといい、この日の前後は仕事も休んで、先祖のお墓参りに行くのです。
おかあさんに晴れ着を着せてもらって、朝早いバスに乗って、いざ出発。が、ソリちゃんの国でも交通渋滞がひどくて、休憩を取りながら、半日かけてやっと到着です。バスを降りてしばらく歩くと、ハルモニが迎えに出てくれていました。 おとうさんの故郷とおぼしき田舎の家には、既に親せきのおじさん、おばさん、いとこたちが集まっています。旧交を温めるおじさんたち、ごちそうの準備に追われるおばさんたち、子どもたちもあちこちでお手伝いをしています。手伝いのできない小さな子どもたちは、大人の邪魔にならないよう、いっしょに遊んでいます。
翌朝には、まず自宅で先祖に礼拝をしてから、お供物をかついで、村はずれのお墓に出かけます。お墓参りが済むと、日本の盆踊りと同じように、村の人みんなで踊りを楽しみます。チュソクは、新暦では9月21日ころ、ちょうど中秋の満月が見られるころです。帰りは、畑で取れた野菜や果物を風呂敷いっぱいに包んでもらって、家路につきます。
私は、この絵本を読んで、韓国と日本に、こんなにもよく似た風習があることを知って驚きました。チュソクを楽しむソリちゃんは、昔、父母や姉弟とお墓参りに行って、帰りに親せきの家でスイカやトウモロコシをごちそうになっていた自分とぴったり重なります。
お盆に親せきを訪ねる、また、親せきがやって来る、というのは、子ども心にはうれしいものです。韓国でも、昔ながらのチュソクの習わしは簡略化されつつあるそうですが、いつまでも子どもの楽しい思い出のひとつに残せたらいいですね。
イ・オクベ 絵・文 みせけい 訳 セーラー出版 1,575円 (2004年 ’平成16年’ 8月25日 92回 杉原由美子)