ハリネズミと金貨

 晩秋の森の小道で、ハリネズミのおじいさんが、金貨を1枚拾います。おじいさんは、 その金貨で冬越しに必要な食べ物を買おうと考えます。うろうろと探し回っているおじいさんに、木の上からリスが声をかけます。 「何を探しているの?」金貨で干しきのこでも買おうと思っているんだと答えると、「干しきのこなら私のを分けてあげるから、靴を買ったら?」ということになります。それではと靴を探しに行くと、靴も親切に作ってくれる人が現れます。「その金貨で靴下を買いなよ」と言って。そんな調子で、おじいさんの欲しかったものはいつの間にか揃ってしまいます。
 ところが、ハリネズミおじいさんは、家に帰り着く間際になって、ハチミツを買い忘れたことに気がつきます。寒い夜中に咳き込んだとき、ハチミツはいい薬になるのです。すっかり夕闇に包まれた道端で途方に暮れるおじいさんでしたが、そこにクマの坊やが現れて、なんとハチミツのビンを置いていってくれます。おじいさんは手の中に残った金貨をながめて、ある決心をするのでした……。
 ハリネズミのおじいさんが、だれにでも金貨を見せてしまうので、心の狭い私は、ハラハラしてしまいました。悪いヤツにだまし取られたら気の毒だから。でも、みんなは、下心なんか無しに親切にしてくれるのです。それはきっと、これまでおじいさんがみんなに親切にしてきたから、そのご褒美なのです。それが分かってくると、最後のおじいさんの決断にも共感できます。
 ロシアの絵本です。ハリネズミのおじいさんのたどる、冬枯れの森の風景は、ここ北陸の景色にも似通っていて、お話と絵の両方から心満たされる、美しい絵本です。

V.オルロフ 原作 田中潔 文 V.オリシヴァング 絵 偕成社 1,470円
(2004年 ’平成16年’ 11月17日 95回 杉原由美子)

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