ふたりはいっしょ

 がまくんとかえるくんのお話、といえば、「おてがみ」を思い出す方が多いでしょう。小学2年生の国語の教科書に載っているからです。自分あてのお手紙を欲しがっているがまくんのために、かえるくんが手紙を書きます。配達を引き受けてくれたのはかたつむりくん。かたつむりくんは、「まかせてくれよ。すぐやるぜ。」と言ってくれましたが……。
 お手紙を一度ももらったことがないと言ってしょげているがまくんのために、即、行動を起こすかえるくん。なかなか着かない手紙を2人で待っている間に、その手紙の差出人がかえるくんであることも、その手紙の文面も、がまくんは知ることになるのですが、4日後に手紙を受け取った時の喜びの気持ちは少しも損なわれませんでした。
 「おてがみ」を小2で読んだ娘が、最近「がまくんのゆめ」を読みました。夢の中でがまくんは、大スターになっています。ピアノに、綱わたりに、ダンス、がまくんは、どれもすばらしく上手に演じてみせます。がまくんは、その度に客席のかえるくんに向かって、「きみに、こんなことができるかい?」と言うのです。そして、初めは声援を送ってくれていたかえるくんの姿がいつの間にか見えなくなってしまいます。「かえるくん、かえるくん、どこにいるの?」暗やみの中で必死に叫ぶがまくんでした。「ぼく、ひとりぼっちになっちゃうよ!」
 「ぼくは ここにいるよ」。目が覚めてみると、ベッドのわきにかえるくんが立っていました。
 今や中2になった娘の目下の悩みは、友だち関係です。「○○ちゃん、性格変わった」 「△△くん、教室に来なくなった」。楽しかった小学校時代にはもう戻れないと実感し、目を潤ませています。小さい時には意味不明だったという「がまくんのゆめ」ですが、「感動的なお話だった」とぽつりと感想を述べていました。
 このシリーズは、短いお話を5編ずつ収めたものが4冊出ています。作者自身が絵も描いています。よもぎ色の濃淡、というような落ち着いた色彩が、おとぼけコンビの会話と行動を優しく包み込んでいます。幅広い年齢層の読者のある本です。

アーノルド・ローベル 作・絵 三木卓 訳 文化出版局 897円  (2006年 ’平成18年’ 10月18日 116回 杉原由美子)

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