ねこのオーランドー

 お父さんの役割って何だろう……。だれでも、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。思春期にさしかかった子どもたちの中には、父親とは口もきかない、目も合わせない、まるで父親の存在を無視するかのような対応をする子もいるようです。
 その点うちの末娘はなぜかお父さん子で、遅い夕食をとっているお父さんのとなりに座り込み、学校世間話に花が咲きます。父親にしても、自分の出身校であるし、かつての同級生が教壇に立っていたりもするので、だんだん話は盛り上がって勉強時間もどこへやら……。
 今回ご紹介するオーランドーは、マーマレード色の毛皮をまとった、ハンサムで仕事がよくでき、芸術にも理解のあるという人間界にもちょっといないようなお父さんネコです。
 仕事はもちろんネズミ退治。この仕事で妻と3人の子どもを養っています。腕がいいので、ご主人から絶大な信頼を得ています。それを充分承知しているオーランドーは、堂々と休暇の申請をします。家族でしばらくキャンプに行きたいというのです。ネズミの発生を心配して休暇を渋った主人でしたが、結局は気前良く、テントやら車やらを用意して、キャンプに送り出してくれます。
 いったん外へ出ると、オーランドーは、アウトドアライフの達人でもありました。キャンプの場所探しに始まって、テントでの過ごし方、お天気のいい時も悪い時も子どもを上手に遊ばせる方法、危険から身を守る知恵、出先におけるご近所付き合いなど、細かく描き込まれた絵をたどりながら、しっかり学ぶことができます。
 奥さんのグレイスとの役割分担も見事ですし、3人の子どもがそれぞれ個性を発揮しながらキャンプを楽しんでいる様子も、よく伝わってきます。この、「人生を楽しむ時間」を作り出すのが父親の役割だ、とオーランドーは示してくれています。
 「だから、ふみちゃんも勉強しられ」
 オーランドー父さんのような楽しいキャンプはできなくて、うちのお父さんと娘の食卓談義はいつもその言葉で締めくくりになるのですが、娘の反応は意外に素直です。父親には不思議な力があるものですね。

キャスリーン・ヘイル 作・絵 脇明子訳 福音館書店 1,575円  (2007年 ’平成19年’ 6月20日 123回 杉原由美子)

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