おばけのジョージー
蒸し暑い夜には、あなたのおうちに住んでいるおばけ探しなんて、いかがですか。たとえば、この絵本に出てくるジョージーのようなタイプ。
ホイッティカーさんの家の屋根裏部屋に住んでいるジョージーは、まだ小さいおばけなので、たいそうなことはできません。 目下のところ、階段のはめ板を「ミシミシ」ときしませたり、ドアの蝶つがいを「ギギー」とうならせたりというのが得意わざです。 ジョージーとしては、この小さな仕事を毎晩時間どおりに果たすことで居心地良く暮らしていました。
しかし、困ったことに、 家の人たちはそれがジョージーのしわざだとは気づいていません。ある日のこと、ご主人のホイッティカーさんは、こともあろうに、階段とドアを修理してしまいます。ジョージーはおばけとしての務めが果たせなくなり、やむなくこの家を去ります…。
村の家々には、どこにももう、おばけが住んでいるので、ジョージーは牛小屋に仮住まいしますが、いっしょに住んでいるめ牛は無愛想だし、冬はすきま風が冷たいし、ジョージーにはつらいことばかりです。
ところが、落ち込んでいたジョージーにある晩うれしい知らせが届きます。季節が変わる間に、ホイッティカーさんの家の階段とドアに異変が起き、ジョージーは、またホイッティカーさんの家で仕事ができるようになったのです。知らせてくれたのは、友だちのねことふくろうでした。ジョージーが全速力で飛んで帰ったのは言うまでもありません。
この絵本は、濃紺一色というたいへん地味な色彩でできているにもかかわらず、全体が温かくほのぼのとしています。作者のロバート・ブライトは、自分の子どものためにジョージーの絵本を作ったそうで、やさしいお父さんと子どもたちが、おしゃべりといたずら描きを楽しみながらジョージーとその仲間を生み出した様子が想像できます。続編も邦訳されています。
ロバート・ブライト 作・絵 光吉 夏弥 訳 福音館書店 735円 (2007年 ’平成19年’ 7月18日 124回 杉原由美子)