くんちゃんのはじめてのがっこう

 9月になって、こぐまのくんちゃんの入学の日がやってきました。お母さんに手をひかれて、 道すがら出会ったみつばちやこうもりやビーバーに、うれしそうに声をかけます。「ぼく、がっこうへ行くんだよ!」
 さて、いよいよがっこうに着いてみると、おかあさんは家に帰って行ってしまいました。教室では上級生たちが、字を書いたり計算したりしています。くんちゃんはまだ字も書けないし、計算もできません。すっかりおじけづいてしまったくんちゃんは、教室の外へ逃げ出してしまいました。
 担任の先生は、少しもあわてずに授業を進めます。いっしょに入学した双子の女の子を黒板の前に座らせると、名前をたずねます。ハリエットとスージーです。先生は黒板に名前を書いて、「ハリエットのハで始まることばを知っていますか?」と質問します。窓の外からこっそりのぞいていたくんちゃんは、心の中で答えます。「ハチミツ……」。スージーのときには、「スープ……」。そして自分の名前が書かれたときには、大きな声で、「くま、くるみ、くまんばち!」と窓の外から答えていました。
 ここで先生は「しめた!」と思ったことでしょう。何食わぬ顔をしていても、内心はらはらしていたに違いありません。さあ今だ、とばかり、「くんちゃんのせきはここですよ」と、うまく教室へ誘導します。よかった、よかった。
 授業参観日は、我が子の観察とともに、先生の技量拝見、ということにもなります。中には、40人近い子どもを授業に集中させながら、親をも引き付けるというすご腕の先生もいます。末娘の入学時の担任のS先生がそうでした。S先生は、力量を買われて他校へ転出、学級崩壊状態のクラスを立ち直らせました。
 「学校って案外楽しいところだね」
 着任当初荒れていた子どもが、学期末にはにこにこしてそう言ってくれたそうです。学校って、楽しいところなんですよ、世界中どこでも。それを忘れないよう、学校と先生を大切にしたいものです。

ドロシー・マリノ 作・絵 まさきるりこ 訳 ペンギン社 998円  (2007年 ’平成19年’ 9月19日 126回 杉原由美子)

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