野の草花

 10月に入って、どうやら秋らしくなりました、と言っていいかどうか分からない陽気ですが、確実に季節の移り変わりを感じさせてくれるものがあります。それは、植物たちです。
 なんて、よく知っているふうに言うのは恥ずかしいです。そこで頼りになる絵本の登場です。この絵本の主人公は、道端や空き地に自然に生えている植物、つまり雑草です。早春から晩秋まで、雑草たちが芽生え、育ち、 花を咲かせて種を残すプロセスを精緻な美しい絵で見せてくれます。
 写真絵本ではないので、不必要な背景がなく、全体が明るくなっています。また、図鑑のように個別に並んでいるのではなく、その場所に生えている何種類かをいっしょに描いているので、植物の形態を把握し易いのが特長です。おかげで、何気なく行き過ぎていた道端の草の名をいくつも覚えました。
 「よく見る草だけど、名前は知らない、雑草ってそんなものだ」と思っていました。でも、一つでも名前を覚えると、その草にあうと、親しみを感じるようになるから不思議です。例えば、「ねこじゃらし」。(本当の名前はエノコログサです)どこにでも生えている草ですが、見ると妙にうれしくて「こんなところにもいたな、こいつ」と、 通りすがりに握手してみたり……。このねこじゃらしさんにも花が咲くことを知ったのはつい最近のことです。種は、風に飛ばしてもらうことになっているので、花も小さく小さく咲いているそうです。こんどあったらよく見てみましょう。
 先日、夏の間、過酷な日差しをさえぎってくれた街路樹のプラタナスの枝が、早くも切り払われていてびっくりしました。落ち葉の始末のほうがたいへんだからなのでしょう。せっかちな葉っぱたちは、もう散り始めていますものね。やっぱり季節は秋になったのです。

古矢一穂 文 高森登志夫 絵 福音館書店 1,365円  (2007年 ’平成19年’ 10月17日 127回 杉原由美子)

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