ラーシアのみずくみ

 ラーシアは、ラオスに住む子どもです。まだ学校にも行っていません。山奥の小さな村にお父さん、お母さん、おじいさん、おばあさん、そしてお姉ちゃんのヌンといっしょに暮らしています。
 お姉ちゃんのヌンは小学校から帰って来ると、水汲みに行くのが日課です。もう大きいので、タンクを二つも持って行きます。
 ある日、いつものようにヌンが水汲みに出かけました。すると、小さなラーシアが、「ぼくも行く!」と言い出してききません。「まだ小さいからむりよ」とお母さんが止めても、「もう大きいもん」と、駆けて行ってしまいました。
 ラーシアの家は山の上にあります。村の水場はふもとの方にあるので、行きはすいすいはかどります。 顔見知りのおばあさんや、犬や、アヒルやブタにあいさつをしながら元気に水場に到着です。水場にはいつも村の人たちが集まって、洗い物をしたり水浴びをしたり、畑の作物にやる水を運び出したり、活気に満ちています。
 ヌンがタンクに水を入れて帰ろうとすると、「ぼくも!」とラーシア。ヌンが、「重いからいいの」といくら言ってもききません。ヌンはとうとう根負けして、タンクを1つだけ持って、さっさと行ってしまいました。
 さてラーシアくん、お姉ちゃんと同じように持って帰れるのでしょうか。
 この絵本は、ラオスの山あいに住むモン族の家族を描いています。作者の安井清子さんは、10年ほど前から、モン族のお話を聞くために、ラオスと日本を行ったり来たりしておられます。お話を聞くだけでなく、日本から持って行った絵本を広げ、モン語で読み聞かせもしました。
 その間に安井さんも絵本も大好きになった子どもたちのため、村の人たちといっしょに小さな図書館も作ってしまいました。みんなで作っただけあって、図書館といっても、地元で集めた木や土や稲わらを材料にしてこしらえた、素朴な民家の格好をしています。
 今ごろラーシアくん、水汲みの合い間に、その図書館で絵本をながめているのではないでしょうか。

安井清子 文 砂山恵美子 絵 こぐま社 1,365円  (2009年 ’平成21年’ 10月21日 149回 杉原由美子)

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