竹は竹

 先日、東京の植物園で、熱帯原産のとてつもなく大きな花が19年ぶりに咲きそうになって、大勢の見学者が訪れ、人気テーマパーク並みの混雑になってしまいました。しかも、2日間しか咲いていないのです。せっかく行ったのに見損なった人もいたそうです。
 今度咲く日に予約できればいいのですが、なにせ巨大な花なので、地下でがんばっている親芋(里芋)の成長を待つしかないのです。それでも、この花の場合、生きているうちにまた見られるかもしれません。生きているうちに見られないかもしれないのが、今回ご紹介する竹の花です。
 竹といえば、気持ちよく真っ直ぐに伸びて、冬でも青々とした色はさめることなく、良い性格のたとえとして使われる植物です。また、芽生えたばかりの竹はタケノコとして、さまざまな料理に使われ、これも重宝がられています。
 けれども、竹の花がいつ咲くのか、どんな花なのか、ほとんど知られていません。例えば、日本人の大好きなタケノコは、孟宗竹という中国原産の竹の子どもですが、この孟宗竹の花は、なんと、67年に1度咲くのです。
 そんな長い年月がかかるのに、いったいどうやってそれを突き止めたのでしょうか。もちろん、筆者の柴田さんが1人で発見したわけではありません。竹と、その周りの自然や人間の暮らしについて、ずっと昔から深い関心を持ち続けてきた人々の研究の成果なのです。
 孟宗竹とは別の、インドに自生する竹についても、開花の周期が確かめられました。竹は、花を付けると実を結び、実が地面に落ちると同時に枯れてしまいます。新しい芽に日光が当たるように、竹林全体が枯れてしまうのです。でもご安心、翌年の雨期の訪れとともに新しい竹がぐんぐん生長を始めました。
 柴田さんはそんな壮大な自然の営みに立ち会うことができました。そして、こんなに分かり易く興味深い本ができたのです。 竹とタケノコによりいっそう親しみを感じるようになりました。

柴田昌三 文 石森愛彦 絵 福音館書店 700円  (2010年 ’平成22年’ 9月22日 159回 杉原由美子)

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