月がくれたきんか

 ミロとルドは隣り合わせで畑を耕しています。代々受け継いだ財産の違いなのか、ルドはお金持ち、ミロは貧乏ということになっています。でも、貧しくても夢を持てるタイプのミロは、何年も地道に働いて、馬を1頭買えるほどのお金を貯めました。よせばいいのに、お人好しのミロは、ルドにその計画をしゃべってしまいます。 「僕は明日、白い馬を買いに行く。日曜日には馬に乗って畑を見てまわるんだ。」
 お金は持っていても人生を楽しめないタイプのルドは、無邪気なミロのことがねたましくてたまりません。ミロの楽しみをぶちこわそうと、一晩中考えた末、畑を耕す鋤がこわれたから、新しい鋤を買うお金を貸してくれと頼みこみます。 収穫の季節には返すから、と。気の毒に思ったミロは、ありったけのお金を貸してしまうのでした。
 半年待ってお金を受け取りに来たミロに向かって、ルドはこう言い放ちます。 「うちには1ペニーもないよ。月の金貨ならあるがね。」 大きな鏡に月をうつして一晩待てば、金貨が手に入るというのです。だまって鏡を受け取ってきたミロ。さすがにだまされたことに気がつきます。「でも、まあ、ためしてみるか。」夜の草原に鏡を立て掛けて、そのまま眠ってしまったミロが、あたりのまぶしさに目を覚ましてみると……。
 期待を裏切らない結末です。よくある昔話の筋立てといえますが、これほど重厚かつ、愛らしい絵をふんだんに使った絵本は珍しいと思います。一度読んでもらったら、 生涯忘れられない印象を残すのではないでしょうか。心優しい人が幸せになれた、という満足感と共に。ヨゼフ・ウィルコンは、ポーランド屈指の絵本作家で、100冊以上の作品があります。 愛嬌のある動物たちがいっぱい描かれていますよ。

アナリーセ・ルッサルト 作 ヨゼフ・ウィルコン 絵 いずみちほこ 訳 セーラー出版 1,262円
(2010年 ’平成22年’ 10月20日 160回 杉原由美子)

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