馬場のぼる こどもまんが集

 馬場のぼる氏の代表作は、絵本『11ぴきのねこ』シリ-ズです。以前、この欄でご紹介した作品も『五助じいさんのキツネ』という絵本でした。けれども、氏の没後10年記念として編まれた本書は、純然たるコマ割りまんが集です。馬場氏は、本来は漫画家だったからです。大手新聞の連載漫画を14年間担当していたという実績も持っています。
 とはいうものの、絵本出版社から届いた案内を手にとったときは、昭和30年前後に発表されていた白黒漫画が、今の子どもたちに受け入れられるのか、心配でした。私は、パンフレットを自宅に持ち帰り、娘たちの反応を見ることにしました。すると、 手塚治虫信奉者の長女が「私、買う!」と即決です。馬場氏は、同世代だった手塚氏とは親友同士であったそうです。それぞれが、自分の作品に相手を登場させたりするほど、仲が良かったのです。
 本が届いてみれば、親子でハマリました。コロッケしか食べないライオン、オオカミと友だちになるブタくん、カッパの生まれ変わりなのか、今ひとつ人間界に居場所を作れない男の子……。風変わりな設定が功を奏して、全く時代遅れを感じさせません。ぜひ今、小中学生の人たちにも読んでほしいと思いました。手塚漫画の芯が社会正義だとしたら、馬場漫画には人間愛、いえ、"生き物愛"が貫かれていると思います。時として、敵と戦う場面も避けられない手塚漫画に比べて、馬場氏は徹頭徹尾対立を好まず、しなやかに、おおらかに生きる子ども(動物)を描いています。馬場氏の生き方が表れているのでしょう。
 この欄で漫画をご紹介するのは11年ぶりです。前回の『ふしぎな流れ星』は、タンタンの冒険シリーズの1冊でした。タンタンについては、長年構想を練っていたスピルバーグ監督によって映画化され、日本でも上映中です。
 今回の馬場のぼる氏にも熱心なファンがいて、氏の作品の映画化を夢見ていましたが、故人となってしまい、実現できませんでした。そのファンという人が、手塚治虫氏です。たいへん残念なことです。

こぐま社 2,100円  (2011年 ’平成23年’ 12月21日 173回 杉原由美子) 

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