ルピナスさん

 海の見える家で暮らしていたアリス・ランフィアスのおじいさんは、昔は船乗りでした。でも、アリスが物心つくころには船をおりて、看板を描いたり船の彫刻を作ったりしていました。アリスは、おじいさんから世界の国々の話を聞くのが大好きで、いつか自分も世界を見て回ろうと心に決めていました。 そして、海の見えるところに住みたいと思っていました。
 大人になって一生懸命働いたミス・ランフィアスは、世界中を旅して海辺の家に住むことも実現させました。 しかし、おじいさんとは、もう一つ約束をしていたのです。それは、「世の中をもっと美しくする」という宿題でした。
 それを思い出したとき、ミス・ランフィアスはもう若くはなく、体も弱っていました。果たして約束を守ることはできるのでしょうか。くじけそうになったミス・ランフィアスが目にしたのは、ルピナスの花。去年まいた種から育っていたのでした……。
 作者のバーバラ・クーニーは、自立した女性を描く天才です。少女から老年期にまで目を配り、彼女たちが自ら進路を選び、行動を起こすことによって、幸せを得てゆく過程を指し示してくれます。エレノア・ルーズベルトの半生を描いた『おちびのネル』もその1冊です。どれもが信念を持った絵本であると同時に、絵の美しさ、繊細さにおいても逸品揃いで、ハズレがありません。
 5月は、一年中で一番多くの花が咲く月だそうです。ルピナスも今から見ごろになります。藤の花が地面から生えてきたようなかっこうをしていて、色は紫やピンク、白など。まっすぐ空に向かってどんどん伸びて行くので、花壇なら、奥のほうに植えられていることが多いです。見かけたら、ルピナスさんを思い出してくださいね。

バーバラ・クーニー 作 掛川恭子 訳 ほるぷ出版 1,365円
(2012年 ’平成24年’ 5月23日 177回 杉原由美子)

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