ナツメグとまほうのスプーン
作者の「ルーカス」という名字はハリウッド映画「スターウォーズ」の監督さんを連想させます。あえて共通点を探せば、 ジョージ・ルーカス氏も祖先はイングランド生まれという点。でも、私にはそれだけの一致とは思えません。この絵本の持っている不思議さ、ダイナミックさ、細部に仕組まれたおかしさなどは、「スターウォーズ」にひけをとらないからです。
ナツメグというのは女の子の名前です。その名の通り、十分にスパイシーな子です。朝ごはんは段ボール、昼ごはんは靴ひも、そして晩ごはんはおがくず、という暮らしに我慢ならなくなって、改革への突破口を開いたのですから。
朝ごはんは段ボール、昼ごはんは靴ひも…考えただけでぞっとしますが、なぜかナツメグと、同居しているニコデマスおじさんといとこのネズビットはそんな日常をおくっていたのです。しかし、ある日のこと、決然としてナツメグは宣言します。
「わたし、散歩に行ってくる!」
あぜんとしている2人を残して波打ち際まできたナツメグは、奇妙な瓶を拾います。中で何かが光っていて、ナツメグに合図を送っているようです。ふたを開けると中から大男が現われて、「外に出してくれたお礼に、願い事を3つ叶えてあげよう」と言うではありませんか。はあ、想定外の成り行きにまごつくナツメグでしたが、とりあえず、「晩ごはんに何か違ったもの食べたい」と願うのでした……。
あらすじでは面白さが伝わらないので、ぜひぜひ手にとってお読みください。中川千尋さんの翻訳もとても楽しいです。日ごろ、この人の訳だと、どうしてこんなにドキドキするのだろう、と思っていたのですが、中川さんは、劇団テアトルエコーの脚本の翻訳で、ずいぶん鍛えられたそうです。なるほど、お芝居を観ている気にさせるはずです。このコンビの作品は要チェック、だと思います。
デイヴィッド・ルーカス 作 なかがわちひろ 訳 偕成社 1,365円 (2013年 ’平成25年’ 3月21日 186回 杉原由美子)
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