新幹線のたび

 青森に住む女の子、はるかは、お父さんと2人でおじいちゃんおばあちゃんのいる鹿児島へ行くことになりました。 この絵本の副題にあるように、「はやぶさ」「のぞみ」「さくら」を乗り継いで日本縦断をするのです。
 朝6時17分。お母さんと弟に見送られて新青森駅を出発。「はやぶさ4号」は、発車後まもなく八甲田トンネルに入ります。全長26㌔余。新幹線のトンネルとしては長さ日本一です。「はやぶさ」は東京行きで、途中停車駅は盛岡、仙台、 大宮の三つしかありません。盛岡-仙台間は、時速300㌔を超えるスピードで走り抜けます。このスピードも日本一。
 約3時間で東京駅に到着。乗り換えまで時間があったので、はるかはいろいろな新幹線をデジカメに収めて回りました。 2番目に乗ったのは「のぞみ223号」。新大阪行きです。お昼ご飯に、横浜名物のシューマイ弁当を買ってもらって食べました。富士山を右手に見ながら東海道の宿場町をあっという間に通過します。
 2時間半で新大阪駅に到着。今度はちょっと急いで「さくら559号」に乗り換えます。「さくら」は、 山陽新幹線から九州新幹線に乗り入れて、終点の鹿児島中央駅まで行くのです。途中11の駅に停車しますが、それでもたった4時間しかかかりません。夕方5時5分に到着です。
 絵本は、東北、東海道、山陽、九州の各新幹線の周辺を絵地図でたどります。ページ下部に列車内の様子が描き込まれ、時間の経過がわかります。絵地図なので、かなり強引に上越新幹線なども描いてあり、うれしくなります。
 この本は、おととしの3月12日、九州新幹線の全線開業日に合わせて発行されました。前日の11日、JR九州の各駅では、様々な祝賀行事が準備されていました。博多では、航空自衛隊ブルーインパルスが最後のリハーサルに来ていました。その2時間後、東北地方を巨大地震と津波が襲ったのです。
 次々に伝えられる悲惨な情報に、九州の人たちは、 何カ月もかけて計画していたすべての祝賀行事の中止を決めました。始発列車は、鉄道と報道関係者だけに見守られて、静かに、しかしながら日本人の万感の思いを乗せて発車したのです。
 発刊以来ずっと、収益と印税の一部が被災地に寄付されています。

コマヤスカン 作 講談社 1,575円  (2013年 ’平成25年’ 7月24日 190回 杉原由美子) 

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