こぶたはなこさんのおべんとう

 まだちょっと寒いけど、春になったのでどこかへ出かけたいですね。いつ、どこへ、だれと、そして、何を持っていくの? などなど、 お出かけには楽しみがいっぱいです。この絵本で予習をしましょう。
 「こぶたはなこさんは、おべんとうが好きです。作るのも食べるのも両方とも好きです。おべんとうを作ったら、 どこかへ出かけて食べてきます。」
 単刀直入にお話は始まります。よく晴れた朝、はなこさんは、親友の「こりすすみえ」さんを誘い、 おべんとうを作って近くのお花畑へピクニックに出かけます。
 おべんとうの中身は、サンドイッチ、アップルパイ、ホットケーキ、ビスケット、アイスクリーム、オレンジジュース、りんご、 みかん、あめだま、チョコレート……。まだまだあるのです。すごいですね。
 2人は元気に歩き始め、きれいな花を見つけたと言ってはひと休みしてスケッチをし、おやつを食べます。 ほんとうにおいしそうに、幸せそうに食べています。そして、目的地のお花畑につくころには……。
 作者のくどうなおこさんは、日本語を楽しく使う達人です。とにかく「こぶたはなこさん」という命名は絶妙です。 性格付けもしっかりできています。食いしん坊で底抜けに明るいはなこさんと、細かい気配りができてきれい好きなすみえさん、という具合です。着せ替え人形のように、場面ごとに違う服を着せてくれた画家さんにも感謝です。
 この愛嬌のあるキャラクターが人気を呼んで、続編も生まれました。 「こぶたはなこさんのたんじょうび」や「こぶたはなこさんのうんどうかい」です。ここには、イヌやサルやネコ、ウサギ、ヤギ、 フクロウ、アライグマたちがぞろぞろ登場し、それぞれにぴったりの名前と役柄が与えられ、にぎやかに動き回っています。
 さらに同じ作者の詩集「のはらうた」では、虫たちや川や月までが名前を得て登場し、詩の形で彼らの人生観を披露しています。おべんとう大好きのはなこさんも、ここでは詩人になるのですよ。

くどうなおこ 作 いけずみひろこ 絵 童話屋 1,026円  (2014年 ’平成26年’ 4月16日 198回 杉原由美子) 

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