かぼちゃスープ
かぼちゃは、どうやって食べたら一番おいしいか、いろいろなレシピを紹介してくれる絵本もありますが、 ここでご紹介する絵本には、「スープ」しか出てきません。あらかじめご了承ください。
ネコとアヒルとリスの3匹は、かぼちゃ畑の真ん中で、かぼちゃの形をした家に暮らしています。そして、 きっちり役割分担して、おいしい「かぼちゃスープ」を作って食べています。かぼちゃを切り分けるのはネコ、 なべの中のスープをかき混ぜるのはリス、そして味付けの塩を量って入れるのはアヒルです。そうやって満足していたのに、 ある朝突然、アヒルが「ぼくがかき混ぜる!」と言い出したから、さあたいへん。
我が家の3人姉妹は、上の2人は年が近く、三女はずっと年下だったので、いつも、まずは見学していなさいというパターンでした。 でも、参加したいんですよね、当然ながら。カルタ取りをしていたとき、「わたしが読む!」と言い張るので、仕方なく読み札を渡したら、 「たいさんたこたこたんじんにべる」と読んだのです。一同し~ん・・・。一瞬の沈黙の後、解読に成功し、 けんかも起きずに無事カルタ遊びを続けることができました。
ちなみにこれ、ある有名な絵本のカルタの一枚なのですが、意味がお分かりになった方は、 相当子どもさんと遊んだ育児のプロと認定させていただきます。
一方、かぼちゃ屋敷のネコとリスは、自己主張を始めたアヒルを押さえつけようとして、家出されてしまいます。 どうせすぐに帰ってくるさ、と高をくくっていましたが、辺りはだんだん暗くなってくるし、お腹はすくし、とうとう捜しにいくことになって……。
絵本全体が、スープの湯気に包まれているような、ほんわかと暖かい色調になっています。そして、主人公の3匹はもちろん、 それ以外の動植物たちの表情や体の動きが、うっとりするくらい繊細に描き込んであります。
寒くなってきたら、この絵本でじんわりと暖まってください。
ヘレン・クーパー 作 せなあいこ 訳 アスラン書房 1,728円 (2014年 ’平成26年’ 10月22日 204回 杉原由美子)