あたし、メラハファがほしいな

 私の住んでいる富山県射水市は、今年1月の統計結果によれば人口の約2%が外国人で、県下では最も高い比率となっています。確かに、よく外国人を見かけます。中でも目立つのは、イスラム系の人たちです。イスラム系の男性は濃い口ひげをたくわえ、 女性はブルカ(ベールの一種)をまとっているので、すぐにわかります。
 今回ご紹介する絵本のタイトルに「メラハファ」とあるのは、このブルカのことです。「メラハファ」は、読むのも発音するのも難しいですね。 原語に忠実に表示したらこうなったのだと思います。原語は、西アフリカ、モーリタニアの言葉なのです。
 表紙には5人の人物が描かれています。左から2人目がこの絵本の主人公の少女です。この少女は、お母さんやお姉さんたちが身に着けているメラハファに憧れて、 早く自分も身に着けたい、と思っています。「お母さんみたいにきれいに見られたい」とか「お姉さんみたいに大人っぽく見られたい」とか、女の子らしい願望でもって。お母さんは、そんな少女の気持ちに気づいていますが、メラハファが単なる装飾品ではないことを理解させたいと思っています。
 ある日の夕方、イスラム教の人々が大切に守っているお祈りの時間がきました。お母さんも、いつも祈りをささげている、家のバルコニーに上って行こうとしました。 少女はその姿を見て、思わす叫びます。「お母さんみたいにお祈りしたいから、メラハファがほしい」
 振り返ったお母さんは、少女をじっと見つめ、「いいですよ」と、青い美しいメラハファをまとわせてくれたのでした。それは、母娘が、イスラムの女性として大切な何かを共有し始めた瞬間でした。
 私は、近所のスーパーで、生まれて初めてブルカをまとった女性に遭遇したときのことを思い出しました。敬虔なイスラムの信仰心を感じて、 身の引き締まる思いだったことを。信仰心を持たない自分は、人間として何か足りないのではないかとさえ思われました。
 絵本に描かれた色とりどりのメラハファは、イスラムの女性の伝統の継承と自己実現の象徴に思えます。さまざまな国や地域に住むイスラムの少女たちには、だれかに強制されるとか、禁止されるとかいうことなく、りりしく美しくメラハファをまとって生きていってほしいと思います。

ケリー・クネイン 文 ホダー・ハッダーディ 絵 こだまともこ 訳 光村教育図書 1,404円
(2015年 ’平成27年’ 2月18日 207回 杉原由美子)

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