ヴィヴァルディの四季
これは、バロック音楽の中でもなじみ深い、ヴィヴァルディ作曲「四季」の絵本です。音の出るしかけ絵本なので、 絵と音楽の両方を楽しむことができます。
絵本の主人公イザベルは、1日のうちに春夏秋冬を体験できる旅に出ます。お供は子犬のピックル。 朝ごはんもそこそこに外へ飛び出した2人を、春の訪れを喜ぶ鳥たちのさえずりが迎えてくれます。 にわか雨をくぐり抜けて、イースターのたまご探しの仲間に入れてもらいました。お昼には暑くなってきて、 もう夏の気配です。お日さまの光がじりじり照り付けて、暑さにぐったりしてしまいます。
そうかと思うと、 にわかに曇ってきて猛烈な夕立が降り出すのでした。木の陰に走り込んで一息ついていると、 あたりは秋の収穫の景色に変わりました。人も動物も、寒さが来る前に、食べ物をいっしょうけんめい集めます。 でも、のんびりはできません。木枯らしが吹いてきました。吹雪もやってきました。もう外にはいられません。 暖かいおうちの中で火に当たって休みましょう。外では雪やあられが吹きすさんでいますが……。
見開きページごとに押しボタンがひとつあります。ボタンを押すと「四季」の代表的なフレーズが流れてきます。 ごく短い時間ですが、全部で10種類聞くことができます。
ボタンを押して聞く音楽ながら、デジタル音源ではなく、室内楽の音色です。 演奏者の表示も必要なのではと思うくらいです。ちなみに、あいの風とやま鉄道の発車合図メロディは、 4月から「四季」の冒頭が使われています。それくらいに、「四季」は、日本人の耳になじんでいます。
私は、時代と空間を超えて大勢で共有できる文化があるのはすばらしい、と思います。幼い子が、 この絵本で「四季」と出合えるとしたら、それも楽しいのではないでしょうか。
ケイティ・コットン 文 ジェシカ・コートニー・ティックル 絵 いよりゆうこ 訳 大日本絵画 2,700円
(2017年 ’平成29年’ 4月19日 232回 杉原由美子)