いのちのたべもの

 食の王国、新潟県から、おいしそうな食べ物の絵本が届きました。
 お話は、ある家族が、今夜は「よせなべ」にしようと決めて、お買い物をするところから始まります。
 先ずは野菜。はくさい、しゅんぎく、ねぎ、にんじん、しめじ、えのき。次に生もの。とりのもも肉、はまぐり、 えび。加工食品のとうふとがんもどきも入れます。なんでも食べられる家族のようで、いいですね。
 買ったものを持ち帰るとき、お母さんが「海の物と陸の物を分けてみて」と言いました。食べ物がどこから来たかを考えると、 それが単なるモノではなく、生き物だったと再認識することにつながります。つい忘れそうになってしまうのですが、 おやつのスナック菓子だって、元々はじゃがいもやとうもろこし。間違いなく生き物だったのです。
 この絵本は、すべての生き物は、命をもらって命を維持していると伝えています。そして、 すべての生き物を育てているのは地球だと。食べるときに言う「いただきます」は、 命をくれた生き物と命を育んでくれた地球に対する感謝の言葉なのです。
 とても分かり易く、大切なことを書いてくれた中川ひろたかさんは、作曲家でもあります。 教科書にも載っている「世界中のこどもたちが」など、たくさんの子どもの歌を作っています。富山にも何度も歌いに来てくれました。
 そして、思わず箸をつけたくなるようなおいしい絵を描かれた加藤休ミさんは、『きょうのごはん』(偕成社)など、 食べ物絵描きとして人気絶頂です。昨年末、ふらりと店に立ち寄って、本だけでなく、自家製コシヒカリ1㎏をお買い上げくださり、 びっくりした記憶もまだ新鮮です。
 新潟県燕市にある、食育講座を企画実践しているおむすび舎さんの初の出版作品になります。「絵本はこころの食べ物」という、 代表の霜鳥英梨さんの信念が込められています。秋には続編が出るとのこと、楽しみにしています。

中川ひろたか 文 加藤休ミ 絵 おむすび舎 1,512円  (2017年 ’平成29年’ 6月21日 234回 杉原由美子)

毎日新聞/Web   プー横丁/TOP

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