わたしのおひっこし

 表紙からお話は始まっています。コーリーたち3人家族は、このおうちから引っ越しすることになって、庭で、家具などを売り出しています。 引っ越し先は町の中のアパートなので、大きな家具や自転車は持って行けないのです。
 売り出した家具の一つは、コーリーのベッドです。ママは10ドルで売るつもりでしたが、クレームがつきます。「背板に落書きがあるわ。 5ドルでどう?」って。コーリーはショックを受けます。落書きしたのは自分だったので。大好きな絵本『おやすみなさいおつきさま』を何度読んだか、 クレヨンで印をつけていたのでした。
 となりの家に住む友だちのセーラが駆け付けてきて、コーリーを引き留めます。「どうして引っ越すの?ここにいればいいのに。 うちの子になれば?」と言ってくれますが、「パパとママがさびしがるから」と、断るコーリーでした。
 引っ越しの理由は、パパとママの経済状態にあるようです。コーリーには、よくわからないので、 愛着のある品物がどんどんなくなっていくことに戸惑い、さびしい気持ちを募らせます。ついには、「かわいいおじょうちゃん、あなたも売り物?」 と声を掛けられて、とうとう泣き出してしまいます。
 このおうち、どこかで見たことあると思ったら、絵本『ちいさいおうち』のおうちに似ています。きっと、コーリーのパパとママの趣味なんですね。 『おやすみなさいおつきさま』をコーリーに読んで聞かせたのももちろんパパとママ。その2人が、人生を仕切り直すべく家も家具も手放しながら、 これだけは絶対に守ろうという覚悟を再確認しているもの、それが、家族です。
 実は私も、このコーリーちゃんくらいの時、養子に出されそうになりました。子どもに恵まれない会社の同僚が、次女の私を養子にくれないか、 と父に言ったのです。「いやだ」と大泣きしたことだけ、覚えています。幸か不幸か経済状態を忖度できない子どもにとっては、頼みは親の愛情だけです。 おかげで、うちは何度も引っ越ししましたが、家族はずっといっしょでした。
 パパとママに抱きしめられて心機一転、新しい家を楽しみにするコーリーに幸あれ!

イヴ・バンティング 文 ローレン・カスティーヨ 絵 さくまゆみこ 訳 光村教育図書 1,512円
(2018年 ’平成30年’ 1月25日 241回 杉原由美子)

毎日新聞/Web   プー横丁/TOP

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