としょかんやさん

 富山には、ひとまねこざるならぬ、ひとまねカモシカがいます。図書館内に迷い込んで、みんなをびっくりさせたカモシカくんは、 こんどは自分で図書館を始めることにしました。お手並み拝見いたしましょう。
 カモシカが図書館に迷い込んだ事件は、10年前に富山県舟橋村の村立図書館で実際に起きました。舟橋駅に併設されている図書館の自動ドアから入ったカモシカは、 館内をあちこち歩き回って、中にいた子どもたちをびっくりさせました。幸い、適切な対応によってけが人も出さず、無事山に帰されました。
 その一件を絵本化したのが『かもしかとしょかん』で、今回の『としょかんやさん』は、その続編です。 『かもしかとしょかん』刊行時に「カーモくん」という名前を付けてもらったカモシカくんは、図書館が大好き。 とりわけ、いつも楽しそうに仕事をしている司書のお姉さんにあこがれて、「ぼくもとしょかんやさんになろう」ということになりました。
 しかし、「としょかんやさん」ってなんだか落ち着かないイメージですよね。支援物資としてコンビニに運ばれたパンは、もらっていいのか、 買わなきゃいけないのか、みたいな話で。
 カーモくんにもよく分かっていなかったようで、せっかく始めた「としょかんやさん」は、さんざんな結果に終わってしまいました。 落ち込むカーモくん。どうしたらいいのかな、足は自然に図書館に向かいます。心配した司書さんも声を掛けてくれます。 しばらく図書館に身を置いて、まわりのようすを見ているうちに、カーモくんは重要なヒントを得たようです。
 心機一転のカーモくんは、看板も「もりのみんなのとしょかん」と書き換えました。なるほど、これなら分かりやすいですね。 森のともだちも、舟橋村の子どもも利用できる、楽しい図書館の誕生、おめでとう!
 舟橋村は富山県で唯一の村です。20年前、せっかく駅があるのに、利用者が少ないという理由で無人駅になる危機を迎えました。 そこで、駅舎と図書館を合体する案が浮上し、実現しました。カーモくんは、ユニークな図書館のさらなる知名度アップに貢献しました。 夏休み、電車に乗ってカーモくんゆかりの図書館を訪ねてみてはいかがでしょう。

魚瀬ゆう子 作 水上悦子 絵 桂書房 1,404円  (2018年 ’平成30年’ 7月25日 247回 杉原由美子)

毎日新聞/Web   プー横丁/TOP

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