杏と世界
これは、絵本ではなく、蟹江杏(かにえあんず)さんの作品集です。現在41歳の杏さんの、ほぼ20年分の仕事から、 代表作199点を収録しています。表紙の絵、少女が大きな花か、光る球を抱えているようにみえます。ページをめくると、 この絵には「太陽を抱える」というタイトルが付いていることが分かりました。なんと、大胆かつ愉快な発想でしょう。
杏さんの制作の方法は種々様々です。目次に沿って並べてみると、「版画(ドライポイント)」 「キャンバスに油絵」「貼り絵」「Whim(切ったり貼ったり彩色したり、複数の手法が混じっている)」 「鉛筆画」「立体造形」「プロダクト(工業製品のデザイン)」「壁画、街の中の壁画、ショーウィンドウ、ガラス、 ワークショップ」となります。
コツコツと、一人無言で細かい線を彫る仕事と、戸外で大勢の子どもたちと壁画制作することを、 同時進行できる作家さんなのです。
私が初めて杏さんの名前を目にしたのも、どこかの街で子どもたちと壁画を制作中、という記事でした。 杏さんは、2011年の東日本大震災のあとも、いち早く、被災地に向かいました。そして、 現地の子どもたちと絵を描く場所と時間を作ったのです。都会で仕事に恵まれているのに、わざわざ不便な地方に行って、 初めて会った人たちと作業しようとは、勇気の要る行動だと思います。
私は、この作品集をみたおかげで、杏さんの行動と気持ちが結びついた気がしました。 ストーリーこそついていませんが、どの作品も温かくてユーモアがあり、自分も描いてみたいと思わせる 親しみ易さがあります。無邪気な線と鮮やかな色使いに満ちていて、いつのまにか心が温まっています。 「太陽を抱える」ような気持ちとでもいいましょうか。
絵本と同じように、1枚1枚の絵をたっぷり楽しむことができます。
蟹江杏 作 求龍堂 3,240円 (2019年 ’令和元年’ 7月17日 258回 杉原由美子)
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