おてがみです

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 あなたは最近、手紙をもらいましたか?DMや請求書ではありませんよ。ちゃんとあなたのことを知っている、 あなたのことを気にかけている人からの手紙です。手紙じゃないけどメールならさっき来た、いつもラインでおしゃべりしてる…。 そうか、そのテもあったかという時代にはなっているのですが、封筒に入った手紙をもらったときのワクワク感は格別ですよね。
 この絵本の副題は「あるゆうびんやさんのおはなし」です。舞台は1世紀くらい前のヨーロッパの田舎町。 そこで郵便配達をしていたおじいさんの回想記という形をとっています。
 町の人々にとって郵便屋さんは特別な存在でした。遠く離れた町に住む息子や娘からの便りを待つ老人たち、 すぐ近くに住んでいるのに、直接言葉を伝えられず、手紙に思いを託す恋人たち、お見舞いの手紙やお詫びの手紙や、 母から娘に書き送られるのはそのまた母親から伝わる料理の秘訣。また、字も書けない小さな子どもたちが郵便屋さんを待っているのは、 キャンディをくれるから。町の人々は、雨の日も雪の日も欠かさず、歩いて配達に来る郵便屋さんをねぎらって、 お昼ご飯をごちそうしたり、車に便乗させてくれたりしました。人々は、郵便屋さんを幸運の使者だと思って、大切にしていたのです。
 ベルギー生まれのデッサンの名手、バンサンの絵は、各ページが逸品です。 ゆるやかな坂道に沿って建つ家々、畑や牧場や並木道の季節の移ろいが描かれ、司祭館や伯爵家のお屋敷といった、 御当地限定のような風景がまた楽しいのです。
 手紙が、人と人の心をつなぐ最重要手段であった時代を回顧することで、実は今も同じ価値を持っていることに気づかされます。 心を込めて書いた手紙であれば、一瞬にして届くメールであろうと、10年ぶりに届いた封書であろうと、 受け取った人の心を大いに慰めます。言葉の持つ力を信じて、大事に、また、こまめに発信しようではありませんか。

ガブリエル・バンサン 作 もり ひさし 訳  BL出版 1,650円  (2014年 ’平成26年’ 3月20日 197回 杉原由美子)

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