どうなってるの?ウィルスと細菌

 これは、めくり仕掛け絵本です。全部で111個のフラップ(開けたり閉めたりできるしかけ)が付いていて、開けるたびに、より詳しい知識を得られます。文字や数字だけではイメージしにくい微生物の形や動き、役割が分かりやすく表現されています。
 例えば、「微生物ってなあに?」と問いかけがあって、フラップをめくるとエベレスト山より背の高い子どもが描かれています。「目に見えないほど小さな生きもののこと。微生物がハチくらいの大きさだとしたら、人間は世界一高い山よりも大きくなる」と説明されています。
 明るい色彩のイラストに惹かれて、細菌、ウイルス、真菌、原虫、などの特徴を学んでいくことになります。それらの中には怖い病原菌となるものもありますが、逆に、動植物の生存・成長の助けになるものもあります。酵母菌などがその一例です。
 ウイルスは細菌よりも更に小さくて、それそのものは大きくなりません。他の生物の細胞に入り込むことで仲間を増やします。「生物としての条件が揃っていないので、ウイルスは生物ではない」と考えている科学者もいるそうです。そういう研究のやり方もあるのかと、私は驚きました。
 この絵本は、今年イギリスで刊行されました。問題になっている新型コロナウイルスCOVID-19の名前も出てきます。新型コロナ発生に対応して作られたとしたら、みごとな早業だと思います。
 今年、世界の多くの人が、仕事や勉強や旅行など、いろいろな予定について、取り止めたり延期したりしました。新型コロナウイルス感染症には、今のところ、確たる治療方法がないからです。感染が収まるまでは、外出時にはマスクをつけて、人と長い時間しゃべったり一緒に食事をすることは避けようと、いろいろなメディアが報じています。
 確かに気をつけなければいけません。けれども、未知の微生物との遭遇は、新しい対策方法を考え出す好機でもあります。この絵本でも、ワクチンや抗生物質の開発などが紹介されていて、人類が疫病を克服してきた歴史に触れることができます。「希望を持ちましょう」というメッセージが託されているのです。

サラ・ハル 文 ピーター・アレン 絵 福本友美子 訳 堀川晃菜 監修 ひさかたチャイルド 1,980円
(2020年 ’令和2年’ 12月16日 274回 杉原由美子)

毎日新聞/Web   プー横丁/TOP

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