ぼくにげちゃうよ
あるところにうさぎの親子がいました。ある日、子うさぎは、どこかへ行ってみたくなりました。そこで、「ぼく、にげちゃうよ」と、お母さんうさぎに宣言します。「どこまでも追いかけますよ」と答えるお母さんとの掛け合いの始まりです。さかなになれば漁師に、花になれば庭師になってお母さんは子うさぎをつかまえると言うのです。
海へ、山へ、サーカス小屋へ、場面は次つぎ変わって、どこへ逃げてもお母さんがしっかりつかまえに来てくれます。
この本を読むと、必ず、子どもは自分も参加してきて、「わたし、○○へ逃げたらお母さんどうする?」なんて聞いてきます。ちょっと大げさかもしれませんが、子どもが、自分の居場所を確認したがっていることを感じます。 だから、おしまいに、親子でにんじんを食べているところでは、満足のため息をついたり、クスクス笑ったりします。当たり前の結末なのですが、それがうれしいのですね。
ともかく子どもは、言葉遊びが大好きです。代表的なものはしりとりですが、最近は、テレビ番組が発祥地の、マジカルバナナとか、チャカポコとか、一定のルールに沿って、たくさん言葉を思い出した人が勝ち、という言葉遊びもあります。リズムに乗って言い続けるのは、なかなか楽しく、スリルもあります。
末娘が、クラスのお楽しみ会で、マジカルバナナがことのほか上手だったと先生に誉められました。「毎晩付き合わされてました」と白状すると、「訓練してたんですねー」と笑ってくださいました。
マーガレット・W・ブラウン 作 クレメント・ハード 絵 いわたみみ 訳 ほるぷ出版 951円
(2000年 ’平成12年’ 7月31日 38回 杉原由美子)