メイシーちゃんのおうち

 昭和30年代に子どもだった私は、少女雑誌の付録が夢そのものでした。雑誌社でもそれを分かっていて、規定ぎりぎりの材料や予算で、熾烈な(?)開発競争をしていたらしいです。月に一度、学校の近くの本屋さんでお気に入りの1冊を買って帰るときの、舞い上がるような気持ちを今もありありと思い出します。
 『メイシーちゃんのおうち』は、言わば「大きな付録」です。本全体が遊びなのです。リボンをほどいて、絵本を立たせ、ぐるっと広げるとたちまち3DKのお家が出現。もちろん、家具付き。さらに、ねずみの女の子メイシーちゃんの人形や、お洋服、生活雑貨のいろいろもついています。(オプションです、なんて言わないところがいい)。しかも、 組み立てる手間もかかりません。ついに付録もここまできたか、の感があります。ひとつ難を言うならば、付録があって、本誌がない、と言う点。あらあら……。
 でも、組み立てたらそれでおしまい、ということはなくて、子どもは夢中で遊び始めます。 「妹のものだったのにお兄ちゃんまで熱中してました」と笑って教えてくださったお母さんもおられました。お話を自分で作れる本、と言っていいのでしょう。メイシーちゃんの絵本はこのほかにも20冊くらい出ています。明るい色と、とぼけた表情をめいっぱい楽しんでください。

ルーシー・カズンズ 作 五味太郎 訳 偕成社 1,900円  (2001年 ’平成13年’ 2月26日 46回 杉原由美子)

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