てんのくぎをうちにいったはりっこ
ハリネズミのぼうや、はりっこは、熊ばあちゃんに育てられました。熊ばあちゃんの家は代々続く鍛冶屋です。はりっこは、勇敢な鍛冶屋の子守唄を聞いて大きくなりました。
ある晩、地震が起きて、天が落っこちそうになります。 天を支えるくぎがゆるんでしまったのです。誰かが天のくぎを留めに行かなければなりません。さあ、誰がいく。「ぼくだ、ぼくがいく」とっさに叫んでいたのは、はりっこでした。
天のくぎのある場所は遠い北の果て。吹きすさぶ嵐の中、長いはしごを登り詰め、ついにたどりついた天のくぎ。ひとうち、ふたうち打つうちに、だんだんくぎは高くなり、小さなはりっこの手では届かなくなってしまいます。思い切って宙に飛ぶはりっこ。くぎはみごとに打ち込まれたものの、はりっこは海へとまっさかさまに……。
冒険ものが得意な神沢利子さんの文章は、ぐいぐいと読者を引き付けます。お話を聞いている子どもたちも、手に汗握ってのめりこんできます。堀内誠一さん描く動物たちはみなどこかとぼけた味があるのですが、表紙のはりっこを見てください。 りりしい表情でしょう。はりっこは、大きなハンマーを持って、これから天のくぎを打ちに行くのです。
我が家の3姉妹は顔も性格も違うのですが、この絵本は3人ともいたく気に入ってました。長い間品切れだったのが、今月めでたく復刊の運びとなりました。ぜひ手に取ってご覧ください。
神沢利子 作 堀内誠一 絵 福音館書店 800円 (2003年 ’平成15年’ 3月24日 73回 杉原由美子)