しりとりしましょ

 しりとりしましょ。初めは「さくらもち」。次に「ち」で始まる言葉、何があるかな。おっと、一つ約束があります。その言葉は、「食べもの」でなければなりません。「ちょこれーと」とか、「ちまき」とか。
 こんな調子で、この絵本には、「あ」から「ぽ」まで、じつに287語の食べものが登場します。287語の食べもののうち、いくつかは重複して登場します。「あっ、さっきのやきいもおばさんまた出てる」「ばななのお兄ちゃんたら、またつまみ食いしてる」などなど、見れば見るほど親しみがわいてきます。
 例えば「さ行」はこんな具合。「さんどいっち」「ちくわ」「わさび」「びふてき」「きびもち」「ちらしずし」。 ページをめくると「しゅーくりーむ」となります。そう、知らず知らずのうちに、五十音順も覚えられる仕掛けです。また、同じ「とうふ」でも、「きぬごし」「もめん」「ごま」「ゆ」「まーぼー」というバリエーションがあって、子どもたちにとっては、まだ知らない食べものや、食べず嫌いしていた食べものが、ぐっと身近になってくるのです。
 公園やバス停や銭湯という場面設定にも生活感があり、子どもの育つご近所界隈はこうあってほしいという作者の願いが、ひしひしと伝わってきます。私としては、お父さんと息子のコンビで登場する「むぎちゃ」さんの、地域に根ざした生き方が好きです。
 作者は、昨秋、毎日新聞「読んであげて」のコーナーに「おしゃべりさん」を連載した方です。住んでおられる大阪周辺では、親子参加の絵本作り講座も開いておられます。パワフルで愉快な講座らしいです。この絵本と同じですね。

さいとうしのぶ 作 リーブル 1,890円  (2006年 ’平成18年’ 2月22日 108回 杉原由美子)

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