時計つくりのジョニー
ジョニーは、もの作りが好きな男の子。ひまさえあれば、トンカチトンカチ何かを作っています。お気に入りの本も、「船のもけいの作り方」「机といすの作り方」「大時計の作り方」だというのですから、半端じゃありません。
中でも時計作りの本が、好きで毎日毎日眺めているうちに、自分でも作れそうな気がしてきました。それでもすぐには無理だと分かっていました。ところが、どうしたはずみか、担任の先生が、「お休みの日は、どのように時間を過ごしますか」と皆にたずねたとき、「大時計を作ります」と答えてしまったのです。
先生としては、勉強をするとか、お手伝いをするとか、無難な答えを期待していたのでしょう。ジョニーの唐突な返答に、とっさに本音を暴露してしまいます。「おばかさん、あなたはまだ小さいんだからそんな難しいことはできませんよ」と。
これは半世紀前のイギリスの絵本ですが、今日にも地元の小学校の教室で起きているような風景です。先生の不用意なことばに打ちのめされたジョニーは、ばかだのほら吹きだの、クラスメートにさんざんからかわれるようになってしまったのです。あーあ、かわいそうに。
でもご安心ください。たった1人、ジョニーの才能を信じていた友達の励ましによって、お話は痛快なサクセスストーリーになっていきます。英国作家さん得意の出来すぎかもしれない結末付きで。
しばらく忘れていたこの絵本を思い出したのは、富山工業高校の生徒さんたちのおかげです。機械科2年の橋本明さん、前里将太さん、岩崎悠希さんの3人が作った介護用の異動椅子が、「第69回全日本学生児童発明くふう展」で最高賞の恩賜記念賞に輝いたのです。彼らの記事を読んで、もの作りの楽しさと、周囲の協力の大切さを再認識し、同時にがんばり屋のジョニーくんを思い出しました。
若い人たちが与えてくれる夢と希望に感謝し、今後の幸せを祈ります。
エドワード・アーディゾーニ 作 あべきみこ 訳 こぐま社 1,365円 (2011年 ’平成23年’ 3月16日 164回 杉原由美子)
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