やさいむらのなかまたち 冬
みなさんは、1月の大雪警報発令の時期、何が一番?私は、公共交通機関がストップしたことと、せっかく食べごろを迎えていた冬野菜を収穫できなかったことでした。
だから、店内でこの絵本を見たとき、思わず「おお、ここにいたのかい」と叫んでしまいました。この絵本の主人公は、表紙に全員が登場しています。このいわゆる「冬野菜」たちは、11月から今ごろのお料理雑誌のメインキャストでもあります。「まるごと大根」「使い切る白菜」「対決カブと大根」などなど。
美味しい食べ方は、それらの書物にあたっていただくとして、この絵本は、野菜たちの履歴書とお考えください。それぞれの野菜がいつごろ、どこから日本にきたか、どのように受け入れられてきたかが、愉快なイラストで紹介されています。日本原産かと思っていた大根も、地中海沿岸生まれ、中国を経由して伝わったことが日本書紀の記述によってわかるそうです。
そして、縁あって現代の台所に来たとき、どのように扱ってやれば元気で長持ちするかも書かれています。読んでみて、間違った保存方法をしていたことに気づきました。よーし、こんど収穫したときはもっと大事にしてやろう。
2月に入って雪がようやく融けて、一輪車を押して畑に行ってみたら、カブや大根、白菜が「ここにいるよー、早く持って帰ってー」と言っていました。カブは茹でておひたしに、大根は大根おろしと、おでんの具に、そして白菜は6個収穫したうちの1個全部を漬け物に、あとはいっしょに煮る仲間をあれこれ変えて毎晩いただいて、それでも4個は食べ切れないので、「まるごと新聞紙に包み冷暗所に立てて保存」しました。この絵本に教えてもらった通りに。
本書のほかに「春」「夏」「秋」編が出ています。やさいむらのなかまたちと仲良くなって、美味しくもりもり食べてください。
ひろかわさえこ 作 偕成社 1,100円 (2021年 ’令和3年’ 2月17日 275回 杉原由美子)