タヌキのキヌコ
表紙は、タヌキのキヌコが人間に化けた瞬間をとらえています。愛嬌たっぷりでしょう?これから生まれて初めて人間界へ遊びに出かけます。
山を下りる途中、いつもからかってくるカラスにあいました。でも、キヌコが上手に人間に化けているので、カラスのほうが逃げていってしまいました。
原っぱに来ると、人間の女の子が花を摘んでいます。そっと様子をみていると、「いっしょに遊ばない?」と声をかけてくれました。
女の子はツキコちゃんという名前です。
草花遊びもけんけんぱもでんぐり返しも楽しくできました。ちょっぴりハラハラしましたけどね。実は、化け方が完ぺきでなくて、キヌコはしっぽをスカートの中に隠しているのです。
たくさん遊んでお腹がすいて、ツキコちゃんがお弁当を分けてくれました。変わったおいもだと思ったら「おいなりさん」っていうんですって。へえ~、おいしいねえ。
食後の腹ごなしに木登りすることになりました。木登りは得意なキヌコですが、しっぽが見えると困るので、ツキコちゃんにさきに登ってもらうことにしました。スイスイ順調に登っていたところ、たいへん、ツキコちゃんのつかまった木の枝が折れて、落ちる時とっさにつかんだのがキヌコのしっぽ。
正体がばれて「うわ~ん、せっかく友だちになったのに~」と大泣きするキヌコでしたが…。
なんとなーく気づかれたかもしれませんが、結末はどうか本を読んでお確かめくださいませ。そうか、そうきたか、と大笑いになること間違いなしです。イキイキとした文と絵で、最後まで引き込まれる絵本です。
春は、新しい知り合いができる季節です。キヌコとツキコのように、お互いにちょっと勇気を出して声をかけてみましょう。好きなことや苦手なことが同じだったりして、友だちになれたらもうけものです。
とみなが まい 文 おくやま ゆか 絵 福音館書店 440円(2023年 ’令和5年’ 5月28日 301回 杉原由美子)
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