ピヨピヨスーパーマーケット

当プー横丁は、太田口通り三丁目にある本屋です。7月1日で開業満43年になります。この間にはいろいろありましたが、毎日新聞富山地域面の「みんな元気になる絵本」コーナーを担当させていただいたことは、一生の宝です。
1998年4月の連載開始時は、フロッピーディスクに原稿を保存してのやり取りだったような。いつからかメール添付で便利になったと思ったら、2024年9月で連載終了。
その理由は、毎日新聞が富山で配達されなくなる、というまさかの幕切れでした。それでもプー横丁のHPに300回余りの連載記事のデジタル版を遺すことができました。
ここに、みんな元気になる絵本のつづきを書く場をいただいて、気合を入れて選んだのはこれ『ピヨピヨスーパーマーケット』。作者は工藤ノリコさんです。
私は、「みんな元気になる絵本」で2回、工藤さんの本をご紹介しました。『ジャングルの王さま』と『セミくんいよいよこんやです』です。
どちらも、工藤さんの作品としては無名です。有名なのはなんといっても「ノラネコぐんだん」と「ペンギンきょうだい」そしてこの「ピヨピヨ」シリーズです。
なかでもこの『ピヨピヨスーパーマーケット』の愛らしさといったらたまりません。
主人公はピヨピヨ、ヒヨコです。親はふっくらとしたオンドリとメンドリです。お話は、お母さんと五つ子ちゃんがスーパーでお買い物して家に帰ってきたら、お父さんもお仕事から帰ってきて、お母さんはご飯のしたく、お父さんと五つ子ちゃんはおふろに。おふろから上がったらちょうどおいしいご飯ができて、と、ぜんぜん平凡なんです。
平凡なんです、と書きながら、現実はどうでしょう?五人きょうだい、が実際には非凡だし、平日の明るいうちにお母さんとスーパーでお買い物するのも、お父さんが夕方に帰ってきて子どもたちをおふろに入れるのも、実は、できそうでできない、夢のような暮らしなんですね。でも、ニワトリの家族という設定だから、なんとなく寛容に読んでいられる。心のどこかで、うちはこうではなかったけど、こういうのもいいよね~、と素直に受け入れられる。
それは、工藤さんの人柄のおおらかさ、あたたかさの表われだと思います。読めば読むほど登場人物(動物だけど)たちみんなに愛着を感じるようになるのです。
シリーズの他の作品には遊園地にいったりキャンプにいったりという設定もあって、平凡ではない、工藤ノリコ的非日常も楽しめます。

( 工藤ノリコ 作 佼成出版社 1,430円 (2025年 ’令和7年’ 9月9日 318回 杉原由美子 )

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